体の構造

基本構造

昆虫類と同一視されることが多いが、節足動物門昆虫綱に属する昆虫とは分類上は別のグループに属する。昆虫との主な区別点は、脚の数が8本であること、頭部と胸部の境界が明確でないことなど。しかし、単に虫と言った場合にはクモも含まれる場合が多い。

体は頭胸部と腹部からなる。頭胸部と腹部の間は、細い部分でつながっている。

頭胸部には4対の歩脚と1対の触肢、口には鎌状になった鋏角(きょうかく)がある。頭部には目が並んでいる。ふつう、8つの目が2列に並んでいるが、その配列や位置は分類上重要な特徴になっている。網を張らずに生活するクモでは、そのうちのいくつかが大きくなっているものがある。

鋏角は鎌状で、先端が鋭く、獲物にこれを突き刺して、毒を注入する。触肢の基部は鋏角の下面で下唇を形成する。触肢は歩脚状で、普通のクモでは歩脚よりずっと小さく、鋏角の補助のように見えるが、原始的なクモでは見掛けでは歩脚と区別できない。歩脚の先端には爪がある。造網性のクモでは大きい爪2本と小さい爪1本があるが、徘徊性のクモでは、小さい爪のかわりに吸盤状の毛束がある。

腹部にはふつうは外見上の体節がない。外骨格は柔らかく、全体に袋状になっている。腹部の裏面前方には、1対の書肺という呼吸器官があり、その間に生殖腺が開いている。腹部後端には数対の出糸突起がある。その後ろに肛門がある。

なお、これは普通のクモの場合である。キムラグモ類など下等なクモ類では若干の違いがある。キムラグモ類では腹部に体節が見られ、糸疣は腹部下面中央に位置し、書肺は2対で4つある。また、触肢は歩脚とほぼ同じで、全体では脚が5対あるように見える。トタテグモ類は、腹部に節がなく、糸疣は腹端にあるが、他はキムラグモ類と同じである。

雌雄の区別は比較的たやすい。多くの場合、雄は雌より小型で華奢である。コガネグモ科ではその大きさの差が著しく、徘徊性のクモでは差は大きくないことが多い。また、模様にはっきりした差があるものもある。

確実な区別は外性器でおこなう。雌では、腹部の腹面前方、書肺の間の中央に生殖孔があり、その開口部はキチン化して、複雑な構造を持つ。雄では、生殖孔は特に目立たないが、触肢の先端にふくらみがあり、複雑な構造になっている。これは、精液をここに蓄え、触肢から雌の生殖孔へ精子を送り込むという、特殊な交接を行うためである。この雌の生殖孔と雄の触肢の構造は、種の区別にも重視される。

出糸突起

出糸突起は、別名を糸疣ともいう。普通のクモ類では腹部後端にあるが、キムラグモ類では腹部の中央にあり、大きい。関節があり、付属肢に由来するものである。

一部に、通常の糸疣の前に、楕円形の糸を出す構造を持つものがある。これを篩板(しばん)という。これを持つクモは、第4脚の末端近くに、毛櫛(もうしつ)という、きっちりと櫛状に並んだ毛を持つ。糸を出すときはこの脚を細かく前後に動かし、篩板から顕微鏡でも見えないほどの細かい糸を引き出し、これがもやもやした綿状に太い糸に絡んだものを作る。